世界遺産「九塞溝(九寨溝)」は、四川省北部にある自然風景保護区だ。広さ620平方kmのこの保護区の中に、百余りの高山湖沼が点在している。チベット族の神話によれば、男神ダーゴーが女神ウォノモスに求愛したときに送った鏡が、これら湖沼群だという。保護区内を歩くと、たくさんの湖沼が現われる。湖底では沈んだ古木が、ゆらゆらと輝いている。あたりはシーンと静まりかえり、神秘的な雰囲気だ。
高さ7m程の滝の落口に出た。中国人観光客たちが谷底まで降りてゆき、大きなカップに水を汲んできた。そのカップをみんなでまわし、一口ずつ飲んでいく。中国人が生水を平気で口に運ぶのを見たのは、これが初めてだった。「あなたも、どう?」差し出されたカップを私は礼を言って受け取り一口飲んでみた。
水は透明でおいしく、中国人観光客たちが、「九塞溝は水を見るための風景区だ」
と言うのも、なるほど、うなずける気がする。私は、水音を心地よく感じながら、しばらく滝壺に落ちる水を眺めていた。
若爾蓋(ゾルゲ)は、九塞溝から甘肅省へ抜けるときに通る草原地帯。達扎寺というチベット仏教の寺があり、草原は山羊、羊などの放牧が行われている。
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