Vol.3

 7月3日、月曜日、晴れ時々曇り

 日本の棚田百選の旅から戻って1週間が経ってしまいました。写 真の整理をしているところですが、なかなか仕事が進みません。やはり、2ケ月の旅で疲れたということもあるでしょう。年齢と、疲れが出てくる時間とには、相関関係がありそうです。

 そればかりではありません。旅の最中は、早朝に起きて、車を運転して、棚田の写 真を撮って、人に話を聞いて、ホームページをアップして、温泉に入って、飯食って、寝て・・・。という暮らしが続きました。ある意味、すごく充実していたんです。これだけの充実している時間を過ごせたことは、数年前、メコンを旅していたとき以来のことです。何も考えずに(いや、考えてはいますよ)、ひたすら棚田を探す旅を続けていた。やることがはっきりしていました。単純明解な生活。そういう時というのは、幸せなんです。旅も終わりに近付くと、そういう充実した生活が終わってしまうのかと、寂しくなってしまいました。

 ホームページを毎日書き替えるというのは、なかなか大変でしたが、これもそれなりに面 白かった。最初は、ノートパソコン(はじめてウィンドーズを使った)のエラーや、PHSでの接続(DDIポケットのポケットMAL)がうまくいかず、どうなることかと思いましたが、だんだんと操作にも慣れて、ページを作る時間的余裕も出てきました。

 この旅については、1冊の単行本としてまとめようと思っていますが、自分の中では、旅の期間中にアップしたホームページで、完結してしまったというところもあるようなのです。だから、もう文章・写 真ををあらためて整理する気力があまりない。そんなことでどうするんだ、プロと言えないぞとハッパをかけられそうですが、俺はやっぱりアマチュア的なんです。もちろん、ここでアマチュアというのは、どちらかというと、いい意味ですよ。そしてこれは決して逃げ口上として使っていることではないつもりですが。まあ、ぐちをいいながらも、ちゃんと仕事はします。

 ただ、アマチュア精神というのが、だいぶ見直されてきた、というか、これからはアマチュア精神だと言えるかもしれないなと感じてはいます。とくにインターネットやっている人なら、痛感しているのではないでしょうか。プロとアマの境目は、イータネット・ホームページのネット世界ではなくなりつつあります。

 いくらプロが作ったからといって面 白いページであるわけでもないし、かえってアマチュアが作るページが面 白かったりしているという現実。お金にならないと動かないというプロの悲しい習性は、ネット上では、マイナス要因ではないでしょうか。興味があることはやる。やりたいことはやる。お金にならなくてもやる。(お金になったら、なおヨロシイ) それがアマチュア精神です。ようするに、趣味ですね。

 今までは、たとえば、写真についていえば、アマチュアはコンテストやカメラ雑誌で発表するしかなかった。お金をためて写 真展を開くとか。写真集なんて、夢のまた夢でした。でもこれらは、いずれも、<プロ>の目のフィルターを通 ったものしか表に現れなかった。<プロ>の写真家や、出版社の<プロ>の編集者、ギャラリーの<プロ>の運営者が、「これはいい」とか「これはダメ」とかいって、採用、不採用を決定していた。

 ところがネット上では、やる気さえあれば、発表できる場所があるのです。ホームページ作りも、そんなにこったやつじゃなかったら、すぐにできてしまいます。自分がいいと思ったことを、ダイレクトに発表できる。そしてそれがいいかどうかは、一般 の見ている人に判断してもらう。もう、アマチュアが、プロのご指導を受ける必要もない、といったら言い過ぎでしょうか。もちろんホームページを作っただけで、あとはなんにもしなかったら、単なる趣味の自己満足ということになってしまうのは、ネット上でも同じですが。

 出版社が「売れないから」という理由だけで、写真集を作らないというのは、経済的仕組みからは理解できますが、それだけだとなんか悲しい。やっぱり、売れなくても、いいものは存在します。インターネットには、それを発掘できる可能性を感じているところです。

 というわけで、特にアマチュアの人に、いいWebギャラリーを作ってほしいと思います。



日本の「棚田百選」撮影旅行の記録

(4月24日から6月23日)


 4月4日、火曜日、晴れのち曇

「これが<半吉>の正体か?」

 中国雲南・ベトナムの旅から、きのうの朝、戻りました。

 1月に行ったときの天気の悪さは、今回も相変わらず続いていて、ほとんど晴天というものがない、雲南の春にしては寒いという異常なものでした。現地の人たちも「今年は曇りが多い」と言っていたので、たぶん私だけの思い込みではないようです。

 3月上旬、羅平県にある雲南最大と言われる菜の花畑へ行きました。雨が続いて、なかなかいいコンディションに恵まれませんでしたが、なんとか1週間滞在して1日だけ快晴と呼んでいいような、いい天気の日がありました。この日を逃したら、あとはないだろうと、朝から晩まで写 真を撮りました。

 10キロメートル四方のなだらかな丘陵地帯は一面 の菜の花。太陽の光を燦々と受けた黄色が、目に痛いほどでした。むせ返るような春の匂いが、あたり一面 に漂っていました。

 菜の花畑の中に養蜂家たちのテントがいくつもあって、蜂蜜をとっていました。巣箱に近付いて蜜蜂のアップを撮ろうしたら、刺されてしまいました。蜜蜂に刺されるのは珍しいそうです。そのせいではないでしょうが、翌日から4日ほど下痢が続き、寝込んでしまいました。

 どうしても下痢が止まらないので、とうとう町で一番大きな病院へいって診察してもらいました。ところが、医者は聴診器を当てるでもなく、脈をとるでもなく、ただ「下痢してる」という私の話のみで「腸炎」と診断し、薬をくれただけでした。診察料と薬代で8元(100円ほど)だったと思います。この薬を飲んだら、翌日からピタッと止まったので、まあ、誤診ではなかったようですが。

 ようやく体力も回復し、旧暦2月8日の麗江の祭り「サンドー節」を見に行き、大理に寄り、昆明から列車でベトナム国境河口へ行き、橋を渡ってベトナムに入国。

 サパに滞在して棚田の写真を撮りました。ここも1年のうち3分の1は霧が出るということで、天気が悪いことは覚悟していましたが、意外に着いてから4日間は晴れて、それならばと、バイクを借りて回ることにしました。

 ミンスクという旧ソ連製のバイクは、とても壊れやすい。私が借りたバイクも、わずかに8キロ乗っただけで、エンジンがどうしてもかからなくなってしまいました。仕方がないので、地元のバイク・タクシーのにいちゃんを止めてバイクを見てもらいました。するとプラグをはずして自分のと交換しました。それでエンジンはかかりましたが、3万ドンとられました。町の商店でプラグは1万2千ドン(約94円)だそうです。

 その晩、バイクを貸してくれたおやじに「ひどく悪いバイクだった」と文句を言ったら、1ドルまけてくれて5ドルになりましたが「明日はもっといいバイクを」と頼みました。翌日借りたミンスクは、おやじが言うには「今まで1回もトラブルを起こしたことがない」バイクだそうですが、3回故障し、2回プラグを交換しました。

 フランス人カップルが借りたバイクはブレーキが壊れていたらしく、おやじにくってかかっていましたが、おやじは「それが普通 だ」と言っていました。ミンスクとは、そういうバイクらしいです。故障するのは、トラブルの内に入らないということですか。最初から故障することを前提として、覚悟して乗らなければならないバイクなのでしょう。

 教訓として、地元のバイク・タクシーにプラグを交換してもらうより、プラグを前もって買っておいて、自分で直した方がいいようです。(プラグの交換はすごく簡単) 彼らがニコニコしながら交換してくれたのは「新品」と言うわりには錆びて見えたし、どうも信用できないところがありました。

 故障続きのバイクは、とうとう夕方、水たまりで滑ってしまいました。自分が転倒したわけではないのですが、バイクが倒れそうになったとき、不自然に足を開いてしまい、そのせいで左足の筋を痛めてしまいました。この痛みのせいで、運悪く予定より、1週間早い帰国となってしまったのです。

 そして帰りの飛行機は6時間遅れで、しかもそんなに揺れたわけでもないのに、機内で吐いてしまいました。乗り継ぎ便の為に、関空のホテルで1泊し(といっても、わずか3時間しか寝る時間がありませんでしたが)、東京に着いたのは、朝の8時。調子の悪い体をむち打ち、やっとの思いで家にたどりつくと、バタンと、布団の上に倒れこんでしまいました。1ヶ月前、出かけるとき敷いてあった布団はそのまま敷きっぱなしで、このときほど万年床のありがたさを思い知った瞬間はありませんでした。

 夕方、ようやく起きられるようになったので、近くの病院へいって診てもらったら、風邪だという診断でした。今日はだいぶ良くなっています。

 と、いうことで、どうも今回はついてないことが多かった。実は出発便も、機体の故障で、別 の飛行機に乗り換えるというトラブルのために、1時間遅れてしまったのでした。

 今年の元旦に引いたおみくじが、誰も引いたことのない、誰も聞いたことのない「半吉」だったという話は、「極楽トンボの日曜日 Vol.1」で書いてます。じわりじわりと、運が悪い。これが「半吉」の正体か?と思ったしだいです。


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