Vol.2

 2月7日、月曜日、晴れ

 「鮮熊胆汁」

 昨日の夜、雲南省から帰国しました。まず、雲南の話は後回しにして、こんなものを見つけたのでみなさんにお知らせします。

 左の写 真は、たまたま昨日、昆明の空港の売店で見つけたソフトドリンク(ドリンク剤か?)、「鮮熊胆汁」。英語では、fresh bears bile juice。日本語では「フレッシュ熊の胆ジュース」とでも訳せばいいでしょうか。

 熊の胆(い)は、熊の胆嚢のこと。乾燥させたものは、漢方薬として、胃の薬に使います。

 雲南の屏辺県でつくられている商品で、内容物は、「山泉水、鮮熊胆汁、蜂蜜、庶糖」となっています。

この鮮熊胆汁については、雲南館「X2ファイル」で、もっと詳しく書いています。>>

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 さて、雲南ですが、滞在中いろんなことが起こりました。姚安県での地震、石林で日本人留学生の交通 事故死亡、麗江では20年ぶりの大雪、そして2000年の春節。

 異常気象らしく、例年になく雲南は寒い日が続きました。寒いだけならそれほど問題ないのですが、天気が悪く、特に今回の一番の目的地だった南部の元陽には、2週間も滞在して、霧が出なかったのは、5日間だけ。

 霧の写真もいいではないですか、などと言わないでください。5メートル先も見えないほどの濃霧で、それが雨混じりの冷たい風が吹いていて、まったく写 真を撮れない状態でした。ひどいときは、朝から一日中そんな感じで、まるで冷蔵庫の中の刺身用のイカになった気持ちで、それでも2週間粘って、晴れ間を見つけては、棚田とその周辺に住む、ハニ族、イ族、ミャオ族の村を訪ねました。

 たまたま滞在中、ハニ族の祭り「アマトゥ」が行われました。村の神様「アマ」の祭りです。この祭りが有名なのは、村のメインストリートに、テーブルを200メートルほど一直線に並べて、村人全員で会食するというのがメイン行事だからです。ギネスブックにはたぶん載ってないでしょうが。

 俺も以前、雲南で出版された写真集かなんかで、この会食の写 真を見たことがありました。この日もあいにく霧が出て、小雨がぱらついていましたが、祭り自体はたいへん興味深いものでした。(この話は、いずれ詳しく書きます)

 そんな悪天候続きだったせいでしょうか、ある朝、ようやく晴れたので、元陽から20キロ離れた棚田にいったとき、雲海の中から現れた大地の皺のような棚田は、吐き気をもよおすほど美しいものでした。

 その日一日、太陽の光を受けて、刻々と変化する棚田をずっと見て過ごしました。最後は谷の向い側、つまり西側に太陽が沈み、1日が終わりました。なんと贅沢な時間の過ごし方ができたろうと、そのときは、嬉しかったのですが・・・。

 さて町に帰ろうとして、最終バスを待ったのですが、7時半の予定が、8時になってもバスはやってきませんでした。月も昇らない真っ暗な夜で、まったく途方にくれてしまいました。これならちゃんとバスなんか当てにしないで、車をチャーターすれば良かったと後悔しました。

 と、そのとき、暗闇で口笛が聴こえました。よほど真っ暗な闇が怖かったのでしょう。ハッとして身構えてしまいました。そして灯がつきました。それは地元の青年が持っている懐中電灯でした。襲われるのではないかと、必要以上に心配しましたが、彼は村へ帰るイ族の青年で、私が事情を話すと、「バスは来るときと来ないときがある。良かったらうちに泊まって、明日の朝、元陽に戻ればいい」と親切に言ってくれました。これ以上、この暗闇で来るか来ないかわからないバスを待つのは、身に危険も感じたので、この青年の好意に甘えることにしました。

 それで彼の家に1泊させてもらったわけですが、夜中、ネズミたちの運動会が賑やかで、障害物競争でもやっているのか、たまに俺の布団の上や腕にも登ってきて、そのたび、ネズミを振払ったりして、ほとんど眠れませんでした。

 もし「パン食い競争」ならぬ「人食い競争」でも始まって、俺の鼻をかじられたらどうしようなどと想像すると、うるさいだけではすまなくて、怖さまで感じ始めてしまったのでした。

 翌朝、彼のお父さんはニコニコしながら「よく眠れたかい?」と聞くので、「もちろん、よく眠れました。ありがとうございました」と、目に隈をつくりながら、爽やかに嘘をついたのでした。

 そういえば、イ族の村でを見かけたことはないなと思いました。どうして猫を飼わないのでしょうか? そもそもこの夜だけがネズミの運動会だったとは、どうしても思えません。おそらく毎晩運動会でしょう。その中で、どうやったら熟睡できると言うのでしょうか? 慣れでしょうか? あきらめでしょうか? あるいは、あのキーキー、タタタタッ・・という音が、イ族の人たちに眠気をもよおす特殊な子守り歌なのでしょうか? (この話もまた機会をあらためて書きます)

 雲南へ何度もいっているのに、まだまだわからないことがたくさんあります。


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